研究概要 |
本研究は,現状の公的サイン類の種類と量,分布特性などの整備実態を調査し,各公的サイン類の機能特性と設置される地域特性の関連性を明らかにすると共に,高齢者を含めた利用者の行動特性を調査し公的サイン類の諸特性との相関関係を明らかにすることによって,具体的な高齢者対応の公的サインシステム構築のための基礎的な指標を明らかにすることが目的である。 本年度の研究実績は,以下の3項目にまとめることができる。 1現状の公的サイン類の種類と量、分布、設置状況、仕様について、都心部街路(歩道部)の実態調査。 2都心部街路の土地利用等の地域特性および幅員や交差点状況等街路特性の実態調査。 3公的サイン類の種類および分布特性と,地域特性および街路特性との相関関係に関する分析。 公的サイン類の現状は,種類によって事業者や設置者,管理者が異なり,互いに関連のない無秩序な状況を呈していた。本年度の研究の結果,これら現状の実態面での問題点を具体的なデータとして抽出することができた。また公的サイン類の種類および分布特性と、地域特性および街路特性との相関関係に関する分布の結果、公的サイン類の分布特性は,地域や街路の特性に影響を受けていることが明らかになった。このことは,本来利用者にとってわかりやすく街を案内誘導することが目的である公的サイン類が,設置される場所の特性に左右され,高齢者を含めた利用者の行動特性との関係から成立しえていないことが予測される。 そこで次年度の研究では,わかりやすさの観点から高齢者を含めた利用者の利用特性の実態を調査し,本年度の調査結果との相関関係等の分析を行い,都市環境形成のための公的サイン類の設計方法(工程サインシステム)の基礎的指標を構築する予定である。(例えば,有効な歩行空間を確保するために数種の標識類の集約化や,車用標識と歩行者用サインの共存化の可能性などを,現状の調査・分析から考察する等)
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