研究目的 本研究の対象地である瀋腸は、人口600万以上の中国東北地方最大の都市であり、国内の重工業の中心都市として重要な地位を占めている。歴史的にも、清朝期に形成された故宮を中心とする都市骨格が現存しており、当時の様子を伝える貴重な例である。しかし、今日の開発によってその姿が徐々に失われており、早急なデータベース化が必要とされている。本研究はそれをもとに都市計画の提言、古建築の修復保存に関する方法を提唱することを目的としている。それにあたり、現在、保存修復のための国際協力体制の形成、今年9月に予定されている東北アジアにおける保存修復をテーマとした国債会議「瀋陽フォーラム」の準備を進めている。 研究の実施 1998年5月 瀋陽市にて研究会議 1998年9月 瀋陽市にて研究会議並びに都市調査 ホトアラ城内並びに周辺に現存する満族民居の実測調査 1998年11月 日本にて研究会議 1999年2月 瀋陽市にて研究会議 1999年3月 日本にて視察並びに研究会議 調査内容 瀋陽市においては前年度までの調査結果をもとに都市調査を行い、現状の把握・分析を進めた。ホトアラにおいては、城内に現存する旧八旗役所、八旗制度のもとに形成された黄・藍・紅・白旗の各村に現存する満族民居の実施調査を行った。 その結果、都市内に建設された八旗のための住居の原型となる17ー19世紀の住宅が確認され、新濱満族自治県並びに瀋陽における満族民居の成立課程があきらかになった。また、それらの建築のの構法的な分析もなされ、清朝積煉瓦造の形式を導き出すことになった。 結論 以上の調査ならびに分析の結果、明らかになったことは以下の通りである。 1. 満族民居の原型並びにその変遷 2.「八旗型」都市の構造 3.「清朝積」煉瓦造建築 4. 上記の建造物の耐震補強法
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