スペースブロックは、壁などに囲まれまとまりをもって感じられる空間を、中の人間や樹木ごと取り出してブロックのように捉える空間の表現手法である。このアイデアを利用して、経路探索を考慮した空間デザインのためのモデル化を図り、設計手法として整備した。このモデルの妥当性を確かめるため、平成8年度には経路探索の実態調査を行い、平成9年度にはアンケート調査を実施した。 1)経路探索行動と空間構成のスキーマについての調査 平成8年度に行った東京の複数のデパートおける経路探索調査から、内部空間のそれぞれの場所に特有の定型的行動があること、行動の連鎖にも定型があることが確認されている。平成9年度には、名古屋と東京の学生を対象にデパートの空間構成に関するアンケート調査を行った。これらの結果、行動と空間との双方にみられるスキーマを明らかにすることができた。 2)場面の創作法 モデルは、経路探索にとどまらず一般に人の行う行動と状態の変化とをあわせた概念としてのイベントと、それらがなされる場としてのスペースとをセットにした場面という単位を考え、それをデザインするというものである。このいわば場面の創作法を具体的なデザイン手法とするために、スペースに対してはスペースブロック、イベントに対してはイベントアイコンを考案している。これらのツールを利用して、1)の調査の結果を表記した。設計課題などを通して実際の設計手法として適用する試みは、今後の課題として残された。
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