平成8年度は、従来研究を継続してきたろう学校教育相談及び幼稚部の研究のなかで、教育相談における0〜2歳児の学習形態について明らかにした。教育相談はほとんどのろう学校で行われており、年齢が高くなるにつれその実施比率が高くなり、その構成員は母親+聴覚障害乳幼児+教員で構成されており、個別+グループ学習の形態を取り、週1回程度の学習が一般的であり、専用室は1室のみが多く、不十分な環境であるなどの実態を把握している。 また各種聴覚障害乳幼児の治療教育施設に関する研究については、1)聴覚障害乳幼児の治療教育に関する主に国内の文献調査を行い問題の所在を把握し、2)ろう学校における教育相談・幼稚部、教育センター、難聴幼児通園施設、病院の指導施設やその他私立の指導施設などにおいて、どれだけの障害乳幼児が、どのよな治療教育をしているかについて現地調査し、ヒアリング調査・予備的調査を行いその概要を把握した。その結果文部省・厚生省福祉関連部局・医療関連部局などの多様な部門で相互の連絡調整のないまま多様な聴覚障害乳幼児治療教育が行われていること、地方自治体の対応によって多様な形態を取っていることの詳細な実態を把握した。3)全国の統計調査資料の収集と解析をおこない施設利用者の概数などを把握した。こうした調査をもとに各聴覚障害乳幼児施設を通した調査を現在計画検討中である。
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