研究概要 |
研究テーマに関する資料の悉皆調査を昨年度に引き続き行った。調査は,1920年代,30年代の主要建築雑誌に掲載された記事中,近代建築運動に関連するものを抽出し,さらにその中に言及される西洋の近代建築の動向や思想を収集することを基本方針として行った。調査対象は,「建築新潮」「建築世界」「建築画報」「国際建築時潮」「国際建築」「新建築」「建築潮」「日木インターナショナル建築」「建築と社会」「建築工芸アイシ-オール」である。今年度は,雑誌原本の悉皆調査と並行して,そこで得られたより詳細なデータを,昨年度におこなった基礎的データによるデータベースに追加する作業を行った。データ入力は現在進行中であるが,原本の悉皆調査は,上記中「建築と社会」については完了した。 「日本インターナショナル建築会」に閲する資料不足が懸案であったが,本年度の調査で,「日本インターナショナル建築」発行以前に同会が関わった雑誌として知られながら公機関に所蔵がなかった雑誌「デザイン」(1927年9月創刊)3号分(全発行号数は不詳)を発見することができたので,調査対象に加えてて検討した。 本年度の調査では,西洋近代主義建築思想の受容形態を示すものとして,掲載図版の典拠および出典に着目し,これを探ることにより,当時において西洋の近代建築の動向が,どのような媒体によって受容されることになったかを明らかにしようと試みた。 これらの作業は引き続き行う予定である。
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