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1996 年度 実績報告書

西洋建築における視覚補正の手法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08650750
研究種目

基盤研究(C)

研究機関九州芸術工科大学

研究代表者

土居 義岳  九州芸術工科大学, 芸術工学部, 助教授 (00227696)

キーワード視覚補正 / ウィトルウィウス / 古代都市 / 建築アカデミー / ヴォ-ルト / オーダー
研究概要

まず基礎的理論の分析をおこなった。
ウィトルウィウスの建築書のなかに断片的に述べられている視覚補正の理論を補足し、現実の古代都市の空間のなかで適用されれば、どういう効果をうむかを、検証した。その結果、視点と見られる対象との距離が一定であることがウィトルウィウスの理論の前提であり、それが約18メートルであり、この数値が古代の都市空間のなかに繰り返しあらわれていることが明らかになった。すなわちウィトルウィウスの理論が、たんに建築デザインのみならず、街路幅や広場の寸法といった都市空間デザインとも密接な関係があることが明らかになった。
つぎに、フランスの建築アカデミーにおける17〜18世紀の議論のなかで、古代建築の設計手法が検討されたうえで、視覚矯正理論がどう検討されたかを分析した。そこでは教会建築の身廊上のヴォ-ルト天井の断面形状を視覚的にどう補正するがか集中的に議論されていたが、そこでも視点と対象との距離が18メートル程度に設定されていたことが明らかになった。
以上から、西洋建築に伝統的に議論されてきた視覚補正の理論は、視点と対象の距離の問題であることが明らかになり、今後の分析の出発点が得られた。
そのほかの作業としては、CADソフトをつかって各種の建築オーダーの形態を入力し、それを実際の視点で、現実の距離から見た場合の見えかたを検討している。これまでの古建築のCADによる復元は、正確な様式的理解にもとづいたものではなく、複雑で彫刻的な装飾をどう立体的に表現するかはたいへん困難な課題であり、コリント式とコンポジット式はこれからであるが、ドリス式、イオニア式については完了した。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] 土居義岳: "ヴォ-ルトの視覚補正に関してフランスの王立建築アカデミーでなされた議論" 日本建築学会中国・九州支部研究報告(建築歴史・意匠系). 10. 717-720 (1996)

  • [文献書誌] 土居義岳: "ウィトルウィウスの視覚補正理論の論理的帰結としての理想的視覚距離" 日本建築学会中国・九州支部研究報告(建築歴史・意匠系). 10. 709-712 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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