研究概要 |
高融点金属間化合物として知られるNi_3Alの固有拡散係数を求めるべく、分析電子顕微鏡を用いてNi(γ相)とNiAl(β相)の拡散対(Ni/AiAl)を作製し、拡散対界面近傍の濃度測定や組織解析を行った。得られた結果を以下に要約する。 (1)平衡状態図より予想されるようにNi/NiAl拡散対界面にはNi_3Alのγ′中間相が生成した。 (2)γ′相の成長形態は高温側(1273K以上)と低温側(1273K以下)で異なった。高温側ではγ′/β異相界面は平坦で直線的であったが、低温側では凹凸があり曲線的であった。 (3)高温側では、γ′相はγ相の結晶方位を保存しながら、γ相側に成長した。成長速度は放物線則に従った。低温側では、γ′相はγ,β相いずれの結晶方位とも異なる方位でγ相とβ相の両方向に成長した。γ′相内には多数の結晶粒界が観察され、その成長速度は放物線則に従わず、4乗則に従った。 (4)拡散対界面を横切る濃度勾配からγ,γ′,β相内での相互拡散係数を測定した。γ,β相内での相互拡散係数はこれまでに報告されている相互拡散係数と全ての温度で同じ値となったが、γ′相内の相互拡散係数は高温側で従来の結果と一致するものの、低温側では一致せず高い値を示した。 (5)高温側では、γ′/β界面にKirkendall界面が位置し、γ′相における固有拡散係数を測定するのは困難であることが分かった。しかし、低温側では、Kirkendall界面がγ′相内に位置することから固有拡散係数が測定できることが分かった。現在、具体的な数値については解析中である。
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