研究概要 |
本研究の目的は,様々な電子材料の結晶界面領域(結晶表面や粒界等)での特異な物性を理解することにある.これらの領域においては固体と固体との相互作用だけではなく,固体と雰囲気気体との相互作用も重要なはたらきをしている.特に焼結体の表面や粒界が化学的に腐蝕されやすいこと等から類察しても,粒界と気体との選択的な相互作用は無視出来ないものと考えられる.そこで結晶界面の電気抵抗,誘電率,粒界障壁の高さなどの電気的性質を種々雰囲気あるいは機械的応力下で測定分析することにより,メゾスコピック領域での物性と測定時の雰囲気や温度あるいは機械的応力との関係を明らかにする事である. 研究概要 1.初年度に作製した微小領域測定装置にX,Y,Z軸を独立に精度よく制御できるステ-を取り付ける改造を行った.このステージに温度コントローラーと加熱装置,さらに簡単な応力を加えながら電気的な接触をとることのできるマニュピレータを自作して目的のステージを試作した. 2.微小領域物性の測定 試作したステージを用いて単一粒界試料や強誘電体薄膜試料の粒と粒界の抵抗率,誘電率,緩和特性を複素インピーダンス法,ICTS法,TSC法で測定した.酸化亜鉛,チタン酸ストロンチウムバリスターの単一粒界試料は試料の酸化還元処理により粒界近傍の電気伝導度が可逆的に変化することが明らかとなった.また誘電体薄膜は測定時の応力によって誘電特性が影響されることがわかった.
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