研究概要 |
(1) 蛍光発光機能のないCdOとWO3の混合粉末をぺレットにしたターゲットに266nmのパルスレーザーアブレーションにより、酵素雰囲気中で室温で発光機能をもつCdWO4薄膜を作成できることを見出し、結果が学術誌に掲載された。この結果をもとに以下の実験成果が得られた。 (a) レーザーアブレーションを用いたCdWO4薄膜の作成条件のうち、レーザースポットサイズ、レーザー強度、酸素圧、ターゲット-基板間距離、基板温度を検討した。アブレーション後に薄膜をアニールすることで結晶性の良い薄膜が得られることを見出した。プルーム中でCdWO4クラスターが合成され、基板上に堆積することが示唆された。結晶性の促進に伴い、室温で充分蛍光発光強度のある薄膜が得られた。 (b) CdW04単結晶をターゲットにし、レーザーアブレーションにより CdWO4クラスターを表面積の大きなゼオライト上に堆積させ、発光機能を調べた。XRDでは非晶質、EPMAではCd,Wが表面上に分布し、SEMでは粒子がほとんど観測されないことから、クラスターが生成すると考えた。CdWO4には2種類の発光ルートがあること、CdWO4がクラスターになると低波長側の発光が得られることが判明した。 (c) このレーザ一を用いた新しい合成法を他の複合酸化物薄膜作成に展開した。CaOと-WO3から室温で可視光発光機能性CaWO4薄膜をこの方法により初めて合成できた。以上の成果を発表準備中である。 (2) 超高真空装置内でSiターゲットをレーザーアブレーションし、テフロン基板上に堆積させると酸素原子を含むSiクラスター、Si3-4O、が生成し、この仕事関数がSiより小さいことをXPS,UPSを用いた価電子帯スペクトルから明らかにした。結果を学術誌に投稿し受理された。 (3) SiのレーザーアブレーションをNH3雰囲気中で行い、窒素終端Siの作成プロセスを学術誌に報告した。 (4) レーザーアニールにより室温で安定で、緑色発光する窒素終端Siが得られた。結果を報告準備中である。
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