研究概要 |
本研究ではMgIn_2O_4,CdIn_2O_4,Zn_2SnO_4などのスピネル型酸化物を中心にそれらを合成し、その熱電物性を評価して、熱電半導体としてそれらの応用の可能性を検討した。 (1)スピネル型酸化物の合成 Zn_2SnO_4は、ZnOとSnO_2の化学量論的な混合粉末を静水圧加圧した成型体を大気中で1000℃、6h反応させて得た。熱電物性測定の便宜上、相対密度を上げるため成型体をを粉砕し、再び静水圧加圧成型し、大気中で1400℃、6h焼結したものを試料とした。MgIn_2O_4とCdIn_2O_4は市販の試薬を静水圧加圧した成型体を大気中で1300℃、5h、さらに1400℃、5h焼結したものを試料とした。XRD測定により全試料はスピネル型構造単相であることを確認した。また、熱分析測定からも焼結温度範囲内では安定であることを確認した (2)熱電物性 MgIn_2O_4,CdIn_2O_4,Zn_2SnO_4いずれの試料もn型半導体であり、酸素分圧が低くなると導電性が向上した。Zn_2SnO_4は高温領域で導電率は低いもののゼ-ベックの絶対値が400〜500μV/Kと大きく、MgIn_2O_4とCdIn_2O_4は比較的低温領域でも導電性があり、ゼ-ベック係数の絶対値も80〜200μV/K程度であった。以上のスピネル酸化物は金属酸化物として導電率が大きく、そのわりにゼ-ベック係数が比較的大きいことから電子移動度が大きいことが推測される。また、これらの酸化物は高温ほどパワーファクターが大きいことと熱伝導率が低いことを生かして適切なドーパントを探せば、高温熱電半導体としての応用が可能であると考えられる。
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