これまでにない新しいタイプのゴム系複合材料の開発をめざして、無期高分子であるイモゴライトを充填剤として初めてゴムに応用し、その充填効果を調べるとともに棒状イモゴライトとゴムマトリックスとの相互作用を解析して科学的基礎データを集積することが本研究の目的である。 先ず、岩手県北上市花巻の火山灰風化軽石層土壌を採取し、デカンテーション、脱酸化物処理、脱珪酸塩処理、脱有機物処理を行ってイモゴライトを精製し、粉砕して白色粉末を得た。大量精製法を工夫し、土壌から繰り返し処理を行って約70gのイモゴライトを得た。そして、イモゴライトを汎用ゴムであるスチレン-ブタジエン共重合(SBR)ゴムに亜鉛華、硫黄、加硫促進剤(MSA)、ステアリン酸とともに混練りしてゴム配合物を作製し、プレス加硫を行って架橋シートを得た。なお、プレス時間を変えて架橋密度の異なる試料を作製した。物性試験については、リング試料を打ち抜き、応力-歪試験、硬度測定、動的粘弾性試験を行った。購入した精密電子天秤による網目鎖密度測定と顕微鏡観察での粒径測定は、現在継続中である。今後、それらの結果と熱分析、応力緩和試験の知見を合わせてイモゴライトによるSBRの補強効果を次年度にかけて明らかにする。また、優れた汎用ゴム用充填剤であるカーボンブラックやシリカとの比較検討も行なう。
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