現有の遠心鋳造装置を基礎にして、真空あるいは低圧容器中で遠心鋳造できるような圧力容器を含む鋳造システム設計・製作した。溶解・鋳造装置を収納する容器を出来る限りコンパクトに設計したにもかかわらず約200lの大きさとなった。らさに、母合金溶解炉、金型予熱炉、金型回転用モーターなどの電気配線・熱電対の取り回し、真空中での金型への溶湯投入の機構に関する解決すべき困難な問題点があった。多々の改善点が未だ有ると認められるが、最終的に1時間の排気にて-740mmHg程度の真空中で材料作製可能なシステムを完成した。問題点は、今後逐次改善する。 市販のAl-Fe合金インゴットはAl-50Fe合金のみであり、必要とするAl-Al_3Fe合金の入手は当初の予定と異なり困難であったため、ルツボ炉を用いて10%強Feを含むAl-Feの母合金を別途作製した。この母合金・今回作製したシステムを用いて、試行錯誤の末に長さ90mm、外径90mm、肉厚15mmのAl-Al_3Fe傾斜機能材料厚肉円筒を作成した。作成した厚肉円筒中のAl_3Feの析出状態・形状を、主として半径・長手・円周方向からの顕微鏡観察を行った。Al_3Feは針状であり、最大40vol%程度のAl_3Feの傾斜分布と、Hv=45-55程度のアルミニウムマトリックスの硬さ分布を得た。また、Al_3Feのヤング率は200GPa以上と推定できるし、真空中で作製した材料は極めて良好な材料と思われる。
|