研究概要 |
燃焼合成プロセスは反応工学における最近の注目すべき話題の一つで,数多くの魅力を秘めている。例えば,密度や蒸気圧が大きく異なる合金の合成,簡易装置による短時間合成,製造エネルギーの大幅削減などである。本研究ではこの手法を水素吸蔵合金の製造に適用し,その可能性を調査することを目的として始めており,本年度は以下の結果を得ている。 1.Mg_2NiおよびMg_2NiH_4の基礎的合成実験 試料作成条件ならびに焼成条件を予備的に検討した。その結果,不活性雰囲気中では高純度のMg_2Ni合成が確認され,20気圧の水素雰囲気ではMg_2NiH_4が直接的に合成される得ることを見い出した。 2.Mg_2Ni合成の速度論的研究 上記の水素化燃焼合成の反応機構を明らかにするために,手始めとしてMg_2Ni合成の速度論的研究を行った。その結果,共晶温度を境に反応速度は劇的に変化することが明らかになった。 Mg_2Ni合成プロセスの数学的モデルの開発 次いで,円筒状試料を準備し,一端を加熱し他端まで合成が伝播する現象を観察した。同時に,熱伝導率,比熱などの変化も別途測定し,それらの情報を組み込んだ総合的な数学的モデルを開発した。 今後はこれらの研究知見に基づき,水素化燃焼合成の反応機構に取り組んでいく予定である。
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