Ni-MH二次電池に使用される希土類系水素吸蔵合金の負極特性は、アルカリ電解液との反応で生じる表面生成相、特に金属析出相の電気化学特性に大きく影響される。 LaNi_5のNiの一部をAl、Coで置換したLaNi_<5-(a+b)>Co_aAl_b合金では、置換Alのアルカリ電解液中への溶出にともない、Al原子の移動を駆動力とするフランク・リ-ド転位源の上昇運動によって合金表面にはLa(OH)_3ウイスカーが成長し、これに誘発されて5〜10nmの大きさのNi-Co合金微結晶が析出した。析出合金相の組成は、母合金である水素吸蔵合金のNi/Co比にほぼ対応していた。 こうした表面に生成する微結晶組成を想定して合成されたモデル合金のCVには、本電池の充放電時に位置する電位領域で、Ni、Co単金属に見られるそれぞれの酸化ピークが減少する傾向がみとめられた。特にNiCo_<0.3>〜NiCo_<1.0>の組成範囲では極めて小さく、アルカリ電解液中での電気化学的安定性は優れていた。 モデル合金の評価結果に基づいて設計された水素吸蔵合金の電池負極特性は、CV特性から推定される通り、Co/Ni=0.3〜1.0の置換合金で優れており、充放電サイクル試験に対し270〜300mAh/gの安定した放電容量を示した。 なお、水素吸蔵合金へのAlの置換・添加は合金微結晶の析出には不可欠ではあるが、過剰な添加はAL_2O_3の生成につながり、充放電反応に対する反応活性の低下と水素移動の障害となることが明らかとなった。固溶限界濃度が最大添加量と考えられる。
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