研究概要 |
(1)メカニカルアロイング法により作製したCu-Ti(C,N)ナノ結晶合金のクリープ変形機構,(2)メカニカルアロイング法により作製したCu-Mg-Ti(C,N)ナノ結晶合金の液相存在下におけるクリープ変動挙動,について研究した. (1)においては,0.5Tm (TmはCuの融点)以下の温度域におけるクリープ変形機構を,圧痕クリープと応力緩和の測定により調べ,変形は粒界拡散に律速された転移機構によるものであることを明らかにした。 (2)においては,平均結晶粒径30nmのCu-10, 15at%Mg-15vol%Ti(C,N)合金の圧延材を作成し,Cu-Mg共晶温度(722℃)前後におけるクリープ変形挙動を定歪速度引っ張り試験により調べた.この硬質合金は,共晶温度以下では,ほとんど伸びを生じないが,共晶温度以上で液相が形成されると,変形応力が急激に低下するとともに大きな伸びを生じる.歪速度感受性指数(m)は液相が増すにしたがって増大し,液相の体積分率が約0.4になるとm=1になり,このとき最大の伸び(200%)を生じた.また,変形後も平均結晶粒径200nm以下の超微細粒組織を保っていた. 今年度は,液相存在下における変形機構を明らかにするために,歪速度と応力および伸びの結晶粒度と液相の割合に対する依存性,液相の組織学的な存在形態についてさらに詳細に調べることを予定している.
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