研究課題/領域番号 |
08650831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
原 基 秋田大学, 鉱山学部, 助教授 (50156494)
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研究分担者 |
中川 時子 秋田大学, 鉱山学部, 教務職員 (40180252)
佐藤 芳幸 秋田大学, 鉱山学部, 助手 (90240671)
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キーワード | 溶融塩 / 塩化ナトリウム-塩化カリウム / ニッケルシリサイド / 電析 / シリコン / 分極 |
研究概要 |
始めに、1073KのNaCl-KCl溶融塩中に0〜10mol%のK_2SiF_6を添加したときのNi電極のカソード分極曲線の変化を設備備品として購入したポテンショ・スタットを使って調べた。K_2SiF_6を添加を添加していない溶融塩中では、電位を低下させてもカソード電流はほとんど流れないのに対し、K_2SiF_6を添加した溶融塩中では-0.8V(_<vs.> Ag/Ag^+(0.1Ag^+))付近からカソード電流が上昇した。これより、-0.8V以下の電位域ではK_2SiF_6が関与したカソード反応が起こっていることがわかった。そこで、5mol%のK_2SiF_6を添加した溶融塩を試験浴とし、-1.1〜-1.6Vの各電位に7.2ks間定電位カソード分極を行ってNi試料上にSi膜の電析を試みた。-1.4V以下の電位域では、時間の経過とともに電流は大きく低下した。電流低下の仕方は分極電位が低いほど顕著であった。このため、分極中のカソード電気量は-1.4V以下の電位域では電位低下とともに減少した。これに対応して、Siの電析質量も-1.4V以下の電位域では電位低下とともに減少した。電析反応の電流効率は-1.1〜-1.2Vの高電位域で高いことがわかった。-1.2、-1.3および-1.5Vに7.2ks間定電位カソード分極を行なった試料の表面および断面をSEMにより観察した。各電位とも試料表面には円錐状の結晶が面全体に均一に析出していることが認められた。断面観察からは、80〜200μmの電析層の生成が認められた。電析層は二層構造を有し、表面層には円錐状結晶の析出が認められ、その下には膜状生成物が下地Niを均一に被覆していることが観察された。EDS分析、X線回折よりこれらの電析物はNiSi_2、NiSi、Ni_3Si_2、Ni_4SiなどのNiシリサイドにより構成されていることがわかった。このNiシリサイド膜は、外側ほど高Si化合物であり、傾斜組成を有することがわかった。
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