今年度は本研究の2年目として、昨年度に引き続き、Ti-Si系金属間化合物基合金に対する第3元素添加の効果について以下の検討を行った。 (1)V添加による組織・状態図への影響 Siを20〜37.5mol%の範囲で一定とし、TiをVで置換する形で0〜25mol%添加して溶解材を作製した。Ti_5Si_3は本実験条件範囲である25mol%までのVを固溶した。Ti_5Si_3とTi_<SS>の共存する組成においては、10mol%以上のVを添加することによって室温でβ-Tiを安定的にTi_5Si_3と共存させる事が可能であり、共存する両相の組成分析から、種々の組成の溶解材において平衡する2相の共役線を明らかにすることができた。さらに、3元系状態図上でTi_5Si_3、α-Ti、β-Tiの存在する領域を明らかにすることができた。 (2)V添加の機械的性質への効果 上記組成の溶解材中の種々の相の硬度、および圧痕の四隅から生成するクラックの長さを用いて破壊靭性を求めた。V添加量の増加に伴いTi_5Si_3相の硬度はわずかではあるが向上した。V無添加の場合約HV1300であるが25mol%V材の場合HV1430を示した。また、破壊靭性も1.3から2.1MPa・m^<1/2>に増加し、Vの添加による靭性の改善が認められた。V添加材中のβ-Ti相にVの濃縮が認められたが、V量に関わらずβ-Tiの硬度は約HV330とほぼ一定値を示した。しかし、Ti_5Si_3相のV固溶による硬度の増加の効果から、Ti_5Si_3+β-Ti共晶組織部においてはV量の増加に伴う硬度の上昇が認められた。 (3)Mo添加について Ti-20〜37.5mol%Si-0〜25mol%Moの組成の溶解材を作成した。高濃度のMoを添加してもVの場合と同様に良好な溶解材が作成可能であった。現在その組織観察を進めている。
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