研究概要 |
本年度は第3年目(最終年)として、Ti-Si系金属間化合物基合金に対する第3元素添加の効果について、検討を行った。前年度までに検討したV添加した場合の結果を基にして、より安価なMoを添加した場合の効果について検討した。 まず、単相材(D8_8,Ti_5Si_3)組成のTi-37.5mol%SiにSi量を一定としてMo添加した場合について検討した。アーク溶解材はV添加の場合ほど、Moの固溶による破壊靭性の向上に対する効果は顕著ではなかった。Ti-37.5mol%Si単相材で約1.2MPa・m^<1/2>であったが、V添加の場合最大約1.9MPa・m^<1/2>が得られたのに対して、MO添加の場合約1.4MPa・m^<1/2>であった。この破壊靭性値と溶解材のクラックの発生状況とは良い一致を示した。すなわち、V添加の場合、発生するクラックはV量の増加に件って微細になったのに対して、Mo添加材は、Moの添加量の如何に関わらず、溶解後の凝固と収縮時の熱応力によって全面にわたって大きなクラックが同じように発生した。 (Ti_5Si_3β-Ti)2相材の基本組成はTi-30mol%Siとした。これにTiをMoで置換する形で25mol%まで添加した。5mol%以上のMo添加によってβ-Tiは室温でも安定化された。この時、Ti_5Si_3相には約16%のMoが固溶していた。また、25mol%Moを添加しして溶解した材料の場合、bcc相は約60mol%のMoからなっていた。組織の均一化のために、1200℃-4時間の熱処理を施した。熱処理中のTi_5Si_3とβ-Tiとの界面反応によってMoの再分配が生じ、その結果Ti_5Si_3はMoを排出し、また、固溶体相のMo濃度の上昇が認められた。結果として、Ti_5Si_3相はMoを約15mol%までしか固溶しないことが明らかとなった。また、Ti_5Si_3および、β-TiはMoの固溶による硬度の上昇が認められた。
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