研究課題/領域番号 |
08650843
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
材料加工・処理
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松尾 二郎 京都大学, 工学部, 助手 (40263123)
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研究分担者 |
高岡 義寛 京都大学, 工学部, 助教授 (90135525)
山田 公 京都大学, 工学部, 教授 (00026048)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | クラスターイオン / 酸化反応 / エッチング / スパッタリング / SiC / 薄膜形成 / InO_x / 導電性透明薄膜 |
研究概要 |
イオンビームによる表面改質は既にさまざまな分野で利用されているが、表面の高機能化等の要求に応えていくためには、従来のプロセス技術の延長でない新しい技術の開発が必要である。本研究では新しい原理に基づいたガスクラスターイオンビーム法を提案し、高機能表面形成に関する研究を行ってきた。ガスクラスターイオンビーム法とは、数百から数千個のガス原子からなるクラスターをイオン化・加速して、固体表面に照射するという手法である。この手法では表面のナノメートルオーダーの領域に超高密度の高速粒子が同時に入射することから、衝突箇所は極めて高いエネルギー状態となり、従来の単原子・分子イオンビームより高い表面反応性が実現される。次世代の半導体材料として注目されているダイアモンドにガスクラスターを照射し、表面改質を行った。また、In、Sn蒸着中に酸素クラスターを照射することにより透明導電薄膜であるITO(Indium Tin Oxide)膜を成長させることを試みた。 ダイヤモンドにArクラスター照射によりエッチングし、極めて平坦な表面を得ることができた。これはクラスターイオン照射による高密度イオン照射効果、及びラテラルスパッタリングによる表面平坦化効果によるものである。このとき表面上には損傷によるグラファイトが形成され茶褐色になるが、この領域は後に反応性を有するO_2クラスターを照射する事により除去できることがわかった。物理的・化学的エッチング使い分けることにより高機能な表面改質を行うことができた。次に、In及びSnを蒸着中に数keVに加速したO_2クラスターにより酸化を行い、極めて高い透明度と導電性を有するITO薄膜の形成を行った。温室形成でありながら、導電率、光透過率ともに300°Cの高温で行う従来法を凌駕する優れたITO膜を得ることに成功した。クラスターイオンビームのもつ高い表面反応性が次世代のエッチング・薄膜形成技術に有効であることを示した。
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