研究概要 |
本研究の最終目標は最大の保磁力を有する希土類永久磁石粉末と現在最大の磁化を有するパーメンジュウルあるいは超巨大な磁化を有すると言われているFe_<16>N_2とのナノコンポジット磁石から成る硬・軟複合磁石を作製することにある.この目的に向かって本年度行った実験から得られた実績は以下の通りである. 1)ミリング時間:NbFeBおよびSm_2Fe_<17>Nxに関しては酸化によるα-Feの析出が生じない範囲内でミル時間が長い方が良いことが確かめられた.これらの結果を参考にして交換スプリング磁石作製に応用したところ,十分に非晶質化するとかえって磁気特性が劣化することが明らかとなった.従って,この場合には完全に非晶質化させないで,ミリング後,結晶化させる時点で核になるべきものを残す方が良いことが確かめられた. 2)MAおよび結晶化雰囲気:6NのArあるいは10^<-5>Torrの真空中でのMA処理をNdFeBに試みたところ,真空中の方が一段と良好な磁気特性を示すことが確かめられた.現在,さらに高真空とした場合について検討中である. 3)結晶粒径観察:TEM観察の場合,どうしても試料の一部のみを観察する危険性がある.今回筆者らが30万部での観察が可能なSEMにより多数の粉末断面を観察したところ,100-200nmに粗大化した結晶粒が認められた.現在,この結果と減磁曲線の第2象現における角型性劣化との関連についての検討を行っている.
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