研究概要 |
10年経つとより強力な永久磁石材料が開発されるとはこれに携わる研究者の間での言葉であるが,現在最も強力なNdFeB磁性材料が開発されたのは,1983年であり,もうとっくに10年を過ぎている.現在でも勿論,異方性定数の大きな永久磁石材料の発見に多くの研究者が携わっているが,その他に,永久磁石材料に携わる研究者の長年にわたる大きな夢である単磁区径以下のサイズから成る結晶粒を有する試料を作製する方法の開発が大きなテーマとして挙げられており,この夢を実現出来る可能性を有しているのがメカニカルアロイング法(素粉末を使用する場合にはメカニカルアロイング(MA法),合金粉末を使用する場合には(MG法))である.筆者らはまで上記のように現在最強のNdFeB永久磁性材料およびこれより優れた特性を有する可能性のあるSmFeN永久磁性材料単体に対し,メカニカルアロイングを施し,酸素との親和力が非常に大きな希土類元素を含有する磁性材料のMA条件を検討した結果,以下の結果を得た.まずミリング時間に対してはNdFeBおよびSm_2Fe_<17>N_xに関しては酸化によるα-Feの析出が生じない範囲内でミル時間が長い方が良いこと,またMAおよび結晶化雰囲気に対しては6NのArあるいは10^<-5>Torrの真空中でのMA処理をNdFeBに試みたところ,真空中の方が一段と良好な磁気特性を示すことが確かめられた.これらの結果を基に,NdFeB合金粉末とFeB合金粉末から試料に対し,MA処理を施したところ,リコイル現象を有する優れた交換スプリング磁石が作製できることが確かめられた.
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