研究概要 |
セル状構造を有するアルミフォームは,靭性・耐熱制・断熱制・耐候性・制振性などの諸特性を兼ね備えた軽量で剛性の高い構造材料/機能材料として期待される素材である.本研究は,従来からの製造法すなわち増粘処理した溶湯中に発泡剤を撹拌混入してフォームを得る液相法の課題であるセル構造の不均一さと製造工程の制御の困難さを克服するため,粉末治金法に基づく新しいプロセスによる発泡特性の把握と微細セル構造の制御法の基礎の確立を目指すものである.その特徴は発泡剤の混合工程と解離工程とを分離して各工程の制御性あるいは再現性を大幅に改善する点にあり,(1)混合工程では粉末状の発泡剤と母材粉末とを均一に混合した後に発泡材が密封状態で微細均一に分散した真密度の固化材とし,(2)電離工程では固化材を発泡材の解離温度以上の温度域に加熱することにより解離ガスを発生させてその膨張を利用してセル構造のフォームを製造する.本法によりアルミフォームのセル構造の解析とその応用を検討し,以下の知見を得た. 1.スリーブにより拘束発泡したアルミフォームの組織は閉気孔中心のセル構造を呈する. 2.試料断面に現れるセル構造は,ポア面積率が表皮付近と上部で若干低下する傾向にあることを除くとポアの寸法・面積率・形状因子のいずれも試料全体でほぼ一定し比較的均一な組織が達成されやすく,また高多孔率下での気孔組織の形態的特徴はVoronoiのセルのそれに近い. 3.多孔率およびポア寸法は発泡剤添加量に依存するが,気孔の形状因子は影響されにくい. 4.発泡剤添加量と発泡条件(特に発泡温度)に選定によりセル構造の制御が可能である. ビーズ・線材のように発泡単位を小さくする事により,金属フォーム部品を比較的自由に成形/製造出来ることが示された.
|