絶縁体中に誘電体を組み込んだ積層セラミックス基板における異種物質間の接合特性を明らかにするために、誘電体と絶縁体の反応について、特に反応界面の微細構造に注目して調べた。誘電体としてPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3、Pb(Mg_<1/2>W_<1/2>)O_3、Pb(Fe_<2/3>W_<1/3>)O_3、およびPb(Zr_<0.53>Ti_<0.47>)O_3を用い、絶縁体としてPbO-SiO_2系、PbO-B_2O_3系およびPbO-B_2O_3-SiO_2系ガラスを用いた。反応を調べるために、誘電体の焼結体を作製し、その上にガラスフリットをのせ、あるいはガラスフリット中に埋め込み、所定温度で加熱した。界面付近の微細構造をSEM、EDS、EPMAなどで観察し、反応生成物をXRDで同定した。 誘電体とガラスの組み合わせにより、多様な微細構造を持つ界面層が生成した。この界面層は誘電体のガラスへの溶解と新しい化合物の生成により形成された。誘電体および化合物のガラスへの溶解度が高い場合、始めに誘電体がガラスへ溶解し、化合物の溶解度を越えた段階で界面付近のガラス面に化合物が析出した。一方、誘電体のガラスへの溶解速度が小さく、また、化合物のガラスへの溶解度が低い場合、ガラスが誘電体内に浸透し、界面から誘電体側に反応層が形成された。反応層中の化合物は2種以上であることが多く、その分布は化合物のガラスへの溶解度により決まった。また、複数の層から成る反応層も形成された。これは、誘電体とガラスの相対的な量やガラスの組成が浸透深さにより異なるため、生成する化合物が深さにより異なることによる。
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