研究概要 |
Al-Mg合金粉末に金属酸化物を添加してMA処理を行って,酸素の置換反応を起こさせることによりMgO粒子を固体Al中でin situに生成させることができることを確かめた。添加する酸化物としては,CuO,Fe_2O_3,SiO_2,Nb_2O_5を用い,これら酸化物が還元されてMgO粒子の分散材料が得られることをX線回折により明らかにした。この際固相反応の進行度合を適当に調節することによりナノ粒子の分散強化材料が得られることが期待されるが,このような固相反応の進行により硬さの増加が得られる場合が多数確認された。すなわち,MA粉末から固化成形したバルク材において,高温加熱時の硬さの増加が観察され,この硬化を利用して固化成形後に加熱処理によって高強度化を図れる材料が得られることが示唆された。しかし,生成するMgO粒子の電顕による同定と観察には,これまでのところ成功していない。 Liも,Mg同様,Alより安定な酸化物をつくると同時に,Alに対して最大固溶量が大きい元素として知られる。Al-Li合金粉末に酸化物を添加してMA処理を行い,固相反応によりLiの酸化物のin situ生成を図った。その結果,Al合金中ではLiは複合酸化物LiAlO_2を優先的に生成することが分かった。しかし,AlLiO_2粒子は角形塊状に生成し,容易に粗大化することが電顕により観察され,そのためこの反応ににともなう硬さの向上は認められなかった。また,酸化物としてSiO_2を添加した場合はAlLiO_2が生成した。さらに,Al-Li-Mg合金に酸化物を添加したMA材においては,Mgが優先的に酸化されてMgOが生成した。
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