研究概要 |
今年度はTEM,SEM,AFM,XPS,EDX,AES等を用いて1)純マグネシウムの大気中および純水中での自然酸化皮膜の生成挙動の解明,2)マグネシウム/アルミニウム合金の大気中および純水中での自然酸化皮膜の生成挙動の解明,3)純マグネシウムとマグネシウム/アルミニウム(ダイカスト)合金の化成処理および陽極酸化皮膜の構造解析による生成機構の検討,を行った.その結果,それぞれの項目にたいし以下のような結論が得られた. 1)純マグネシウムの新生面上に大気中で生成した酸化皮膜は連続的で均一な非晶質の皮膜で,平均厚さは約23mmであった.Mottの理論から考えられる値よりかなり厚いのは,膜が理想的な酸化物からずれた水和構造を含むためと考えられる。 2)Mg-Al合金の場合も皮膜は非晶質で均一な外観を持つが、含有Al量の増加に伴って平均膜厚は減少した。Alの添加によるMg-Al合金の耐食性の増加は、素地付近の緻密で保護性の高いアルミニウム酸化物割合の増加によると推定される。純水中では水和酸化物/初期自然酸化膜/薄片状水和物の3層構造を持つ皮膜が生成し,かつ薄片状水和物外層の厚さはマグネシウム合金素地の水への溶解が抑制されるため含有Al量が多いほど薄くなった. 3)陽極酸化膜も化成処理膜も皮膜の成長はアノード反応による皮膜/素地界面でのMgF_2とMgO_x(OH)_yの生成および溶液中からのNaMgF_3とCr_2O_3の析出に支配される.ダイカスト合金の場合は相当量のAlO_x(OH)_yと少量のFeO_x(OH)_yおよびMn^<4+>が含まれる.化成処理においては粒界がカソードサイトとして働く.
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