研究概要 |
本年度は、(1)Mg-Al合金中に添加したZnおよび希土類元素(RE)の耐触性に対する影響を電気化学特性の測定により評価する、(2)Mg-Al合金中に添加した希土類元素の表面自然酸化皮膜の構造に対する影響を、大気中あるいは水中で成長する酸化皮膜の高分解能TEMによる結晶構造と形態の直接観察,XPSによる結合状態と化学組成の定量的解析等により構造解析し、耐触性の向上の因子を構造面から明らかにする,ことを目的とした。その結果を要約すると以下のようになる。 これら3元合金上に生成する皮膜も、純マグネシウムおよびMg-Al2元合金と同様に水和した内層、薄くて緻密な中間層、薄片状の外層から成る3層構造を持っていた。亜鉛と希土類元素はそれぞれの酸化皮膜中に取り込まれ、特に表面の不働態性の制御因子である水和を抑制し、内層からのマグネシウムの拡散抵抗を高めることによって湿式環境中での安定性を増大している。皮膜中の痕跡量の希土類元素酸化物の存在が、表面の不働態性の改善、つまりMgAlRE合金の腐食耐性に特に効果的である。合金中で希土類元素がアルミニウムと共存する事がこれらの効果を得るための基本的な因子である。 また,研究結果の総括と共におよび国際会議での論文発表,討論を行った。特に,日本学術振興会の事業による日-伊セミナー(Challenge of Magnesium)への参加と議論は研究の総括に対して大きな意義があった.
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