研究概要 |
圧延加工における混合潤滑状態はロールバイトの入口,中間部,出口において変化を生じており,加工後の板表面の観察だけではその動的な実態を把握することは困難である.したがって圧延潤滑界面の直接観察は混合潤滑機構を解明するうえで特に重要な役割を果たすと期待される.しかし技術的困難などにより従来それを実現した報告はない.本研究はプロトタイプの圧延界面観察装置を製作し,それによる混合潤滑機構の検討を目指すものである. 本年度は必要な装置の構造の立案と設計製作を進め,実際にアルミニウムの軽圧延(圧延率5%程度)に試験的に適用することにより圧延界面の観察に成功した.そして基油粘度の違いによる潤滑界面の状況の違い(オイルピットの出方の違い)を定性的に把握することができた. しかし技術的には基本構造の問題の他に,圧延面の接触面圧および摩擦せん断応力に耐える透明体材料の選定および加工および固定方法,光軸の調整方法,観察面の照明およびその均一性の確保など,画像取得および処理系における定量化に耐える画質の確保など,まだまだ解決しなければならない多数の問題があり,現在その改善について検討を進めている.これらを克服してより精度の高い観察を実現し,混合潤滑機構についての有益なモデリングを進める予定である.
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