1.比較的純度の高い銅スクラップ中の不純物元素を酸化除去する目的で、坩堝に不純物元素を添加した銅とスラグを入れ、空気を吹き込む酸化精製実験を行った。この結果は以下の様である。 (1)不純物の酸化物の融点が銅の融点より高い鉄、亜鉛、コバルト、ニッケルは、溶剤を添加しない酸化だけで、これらの不純物を固体酸化物として除去分離出来る。 (2)酸素との親和力の大きい不純物である亜鉛、鉄、コバルト、錫を酸化除去する際、過剰に酸化し過ぎると、銅中の酸素濃度の増加のため不純物元素が銅中で安定になり除去し難くなる。 (3)不純物元素と酸素との親和力が銅と酸素の親和力に近い、ニッケル、ビスマスはこの酸化により機分除去出来るものの、完全に除去することは出来なかった。 2.低品位銅スクラップから酸化により不純物元素を除去することは効率が悪いので、スクラップ中の銅を濃縮する実験を行った。スクラップ中の主要な不純物である鉄を分離するもので、その原理は次の様である。炭素飽和下でCu-Fe-C3元系融体は、鉄が富化した溶鉄相と銅が富化した溶銅相の二液相に分離するので、低品位含銅鉄スクラップを炭素飽和下で溶解し、主要不純物の鉄を溶鉄相に分離し、下層に濃縮した銅を回収するものである。この実験の結果を要約すると次のようである。 (1)溶鉄相と溶銅相が密度差で上下二液層に明瞭に分離し、鉄が富化した溶鉄相の組織は、91.1%Fe-4.7%Cu-4.2%であり、銅が富化した溶銅相の組成は96.7%Cu-3.3%Feであった。 (2)この二液分離を利用すると、10%銅を含むスクラップから60%の銅が回収でき、20%銅を含むスクラップからは80%の銅が、また30%の銅を含むスクラップからは90%の銅が回収できる。
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