合金の界面形態には、融液流動により輸送される熱移動量、溶質移動量が共に寄与するため、純物質の場合に比較し現象が複雑化し、凝固条件により寄与様相が異なっていると考えられるため、研究は純物質に対する融液流動の寄与を定量的に解明した後、合金の凝固に対する融液流動の寄与を検討することとした。流動の定量的寄与を実験的に明らかにすることを目的とするため、研究は以下のように進めた。 (1)純物質の凝固におけるデンドライトに対する、融液流動がないときの温度(過冷度)の寄与の定量的評価、 (2)純物質の凝固におけるデンドライトに対する、与えられた過冷度における融液流動の寄与の実験的評価、 (3)合金の凝固におけるデンドライトに対する温度(過冷度)の寄与の実験的定量的評価、 (4)合金の凝固におけるデンドライトに対する、与えられた過冷度における融液流動の寄与の実験的定量的評価。 得られた成果は以下のようである。 純物質の凝固においては、温度のみが決定因子となっており、デンドライト先端に融液が流れてくると、先端近傍の局所的な温度勾配が大きくなる。そのため、熱流束を界面で保存するよう、デンドライト先端成長速度は増加する。この増加量は融液流動速度が速いほど大きくなる。また、過冷度が小さいほどこの流動の寄与は相対的に大きいことが示された。この純物質の凝固に対する研究を基に、合金のデンドライト凝固に対する融液流動の寄与に対する研究を進めている。
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