研究概要 |
本研究は,主にNOxに対して特異な反応性を有する酸化物イオン/電子(ホール)混合導電性酸化物に熱パルスを印可したときの表面導電率の変化および表面反応に伴う混成電位発生を利用して,選択性および感度の高い化学センサーの可能性について検討することを目的としている.本研究では,NOxに対して高い選択性を有するn型半導体のNd_<2-x>Ce_xCuO_<4-x>(NCCO)を主な対象として,その反応性を詳しく調べた.Au(PO_2,PNO/PNO_2)/Nd_2O_3-doped CeO_2/NCCO(P′O_2,P′NO/P′NO_2)から構成される3端子電気化学セルを用いて直流分極,および交流インピーダンス測定を行い,電荷移動反応(NO+O^2=NO_2+2e′(反応A)およびO^2=1/2O_2+2e′(反応B))の特性を調べ,混成電位の発生機構と表面における電荷移動反応の速度を調べた.また比較のためにYSZ,Au,Ptについても直流分極およびNO+1/2O_2=NO_2(反応C)の反応速度を測定した.得られた結果より450°C付近で最も混成電位が大きくなること,またこのときの反応Cに対する触媒的作用が最も高くなることを見いだした.また直流分極測定結果をTafelプロットを用いて解析し,その反応速度を交換電流密度より求めた.その結果によると,450°C付近ではNCCOの表面におけるO_2とNO_2の競合吸着と表面における電荷移動反応の混合律速の状態にあると推定される.またこれらの結果を用いて,混成電位が反応Aおよび反応Bの速度の違いに起因しているものと推定した. 以上の結果から,化学反応の速度およびその活性化エネルギーの相違を利用した高温排ガス用半導体型成分センサーの可能性を実験的に確認した.
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