我が国の鉄鉱石の多くはオーストラリア産の高品位鉱である。近年、この高品位鉱も減少の傾向にあり、価格の上昇が懸念されている。一方、現在使用されている鉱石品位より不純物濃度の高い低品位鉱は既開発鉱山の採掘可能地域に多く賦存している。今後これを有効利用しなければならない。利用の際に問題となるのはりん含有量が多いことである。製鋼工程での脱りんは経済性の問題があるので、鉱石段階で脱りんすることのできるようにすることが、本研究の目的である。本研究は鉱石中のりん酸化物を還元し、気体のりんとして除去できるかどうかを検討した。 市販のFe_2O_3に同じく市販のP_2O_5を拡散させ試料とした。この粉末試料をCO-CO_2混合ガスで還元した。パラメータは酸素分圧(すなわちCO-CO_2の混合比)あるいは混合ガスの流量とした。試料をC粉末と混合させたCOで還元することも試みた。lmass%のりん含有率の試料でも、約30%の脱りん率を達成できた。脱りん速度と時間の関係はりん濃度に対する見かけの一次反応として整理できた。ガスの総流量によって反応速度は変るので反応生成物は気体りんと推定される。 還元ガスの酸素分圧が高いと脱りん率が高いので生成した気体りんは還元鉄に吸収されていることが推定された。
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