研究概要 |
Nd-Fe-B系永久磁石を用い,幅200mm,高さ75mm,磁石間距離80mmの磁気回路を構成した.これにより,最大磁束密度0.49Tの磁場中での回転液中紡糸を可能とした. アモルファス極細線の作成に関し,石英ガラスノズルによる噴射可能なノズル径を(Sn-31.9Pb)-10Bimas%,Cu_<68.1>Zn_<31.9>,Cu_<85>Sn_<15>,Cu_<90>Sn_<10>,Cu_<96>Be_4,Cu_<96>Al_4,Al_<92>Cu_8合金の噴射によって調べた.低融点の(Sn-31.9Pb)-10Bimas%合金ではノズル径が50μmでも噴射可能であったが,他の合金ではノズル径が100μmでも良好な噴射は得られなかった. 本紡糸プロセスにおける溶融合金ジェット冷却過程のコンピュータシミュレーションプログラムを作成した.ジェットに定電流を通電することで電磁気力が発生するが,直径100μm,通電電流0.8A,材料をCuとした場合,通電しない場合より冷却速度が約50%向上することがわかった.電気抵抗率の大きいより一般的な材料の場合,通電電流を過大にし過ぎるとジュール熱の発生に伴い,冷却速度は減少するが,0.6A程度までは冷却速度の増加傾向が認められ,通電電流の限界がある程度わかった.ジェット径が太くなると回転液層の動圧が大きく,電磁気力によるジェット軌跡の制御は困難になる傾向にあることもわかった. 今後,これまでに得られた知見をもとに,多くの合金系について噴射実験を行い,凝固組織変化と対応させてアモルファス極細線の製作を行っていく予定である.
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