先に提出した研究課題の実験計画に基づき以下の実験を行った。 1.アクティブタービン翼からの液滴生成: アクティブ・タービン翼撹拌液液抽出塔の特徴は回転円板にスタティック・ミキサ-を取り付けた新規な撹拌翼(アクティブ・タービン翼と呼ぶ)にある。回転スタティック・ミキサ-流路内の分散相、連続相の流動を可視化するため、タービン翼をアクリル樹脂で作成した。実験は連続相に水、シクロヘキサン、ISOPARM、シリコーン油をヨウ素で着色したものを分散相に用い、ミキサ-流路内の両相の流動、液滴生成機構および生成液滴径を可視化により調べた。その結果、流路内の両相の流動は分散相流量および翼回転数により複雑で、それに対応して液滴生成機構も複雑であった。生成液滴径は分散相の物性、操作条件によらずウェーバー数(We数)で相関出来ることがわかった。 2.アクティブ・タービン翼撹拌液液抽出塔の流動特性: 上下部にセトラ-段と4段の撹拌段を有する撹拌液液抽出塔を試作した。国際標準化溶液の水(連続相)/トルエン(分散相)を用いて、分散相ホールドアップ分率および溢汪限界特性におよぼす分散相、連続相の各流量および撹拌速度の影響を調べた。ホールドアップ特性では上部セトラ-段の下段で特異な特性を示した。溢汪限界特性では限界分散相流量におよぼす連続相と撹拌速度の影響を調べ、限界分散相流量は撹拌速度の160rpm付近で最大値を持ち、連続相流量の増加と共に減少した。 3.アクティブ・タービン翼撹拌液液抽出塔の物質移動特性: 水(連続相)/アセトン(移動物質)/トルエン(分散相)を用いて抽出効率におよぼす分散相、連続相の各流量および撹拌回転数の影響を調べた。装置の性能評価として塔単位高さ当たりの理論段数を用い、従来装置との比較を行った。最高抽出効率には最適撹拌速度があること、装置の性能評価は従来装置より良好であることがわかった。
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