研究概要 |
石灰火力発電所から排出される脱硫廃水中に含まれるホウ素を,溶媒抽出法により分離回収するプロセスを開発することを目的として研究を行った。最初に抽出平衡について検討した結果、抽出剤して酸性条件下においてホウ素に対し有効な抽出剤であるBEPDを,また溶媒としてEHAを選択した。一方、逆抽出における回収剤としてはアルカリ水溶液を用いた。抽出平衡および連続実験により以下のような結果を得た。抽出剤濃度としては,抽出率及び相分離等の操作安定性の両方の観点から,1km0l/m^3が最適であると考えられた。次に、逆抽出工程について検討を行った。油相に抽出されたホウ素の回収相として、これまで広く用いられてきたNaOHは、回収率やイオン強度の影響によりその使用濃度範囲が限られた。NaOH以外のアルカリを検討した結果、NaOH同様に100%の逆抽出率を得ることが可能であった。最後に、正抽出・逆抽出を連続的に行い油相を循環させる場合,長期間の使用により抽出剤が水相への溶解に伴う抽出率の減少が問題点として上げられた。そこで事前に廃水を油相で飽和させる等の前処理が必要であると考えられた。また逆抽出におけるホウ素回収の際にも,回収相を循環させ常に回収相を油相で飽和された状態にすることで抽出剤の溶解を抑え,高濃度のホウ素回収液を得ることが可能であると判断した。
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