化学反応においても省エネルギー化は時代の要請であり、温和な条件で機能する触媒の化学がますます重要となりつつある。本研究は一酸化炭素を低温で化学的に活性化し得る触媒の設計に資することを目的とし、一酸化炭素とラネ-ニッケル触媒との相互作用を多面的に明らかにしようとする。 1.一酸化炭素とニッケルとの相互作用の解明 本年度は先ず、展開(共存金属の溶出)の程度を調節して組成及び構造の種々異なるラネ-ニッケル触媒を調整し、これらの触媒と一酸化炭素との相互作用状態を拡散反射赤外スペクトル法により調査した。ラネ-触媒は空気中で酸化を受けやすく極めて不安定であることを考慮し、試料をスラリー状で導入しその場で空気に触れぬ状態で乾燥して測定のできるセルを設計製作した。なお、極めて微弱なシグナルを与える吸着メタンの赤外吸収スペクトル測定を行い、製作したセルの健全性を検証した。 2.触媒反応挙動の把握 上記1で準備した各触媒を用い、一酸化炭素の水素化反応試験を行った。温度、圧力は通常この種の反応が行われる条件より低い値を中心に設定し、反応温度、各成分の分圧、反応時間の各パラメータを種々変更してデータを取得した。さらに、同じ触媒上での二酸化炭素の水素化反応についての検討を現在進めている。
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