高活性で、安定な過酸化物分解酵素の開発は、医学分野のみならずバイオリアクター等生産分野で重要な課題である。Amphibacillus xylamusで発見された過酸化物分解酵素系は、既知の分解酵素よりも反応速度と基質親和力がずばぬけて高く、無機、有機の過酸化物に対する幅広い基質特異性を有しており、応用面で極めて有用な酵素と期待される。しかしながら、A.xylamusは菌体収量が低く、プロテアーゼ活性が高いなど酵素生産上の欠点が多い。 そこで本研究は、過酸化物分解酵素系を構成するC_<【similar or equal】>タンパク(AhpC)の全構造遺伝子をクローニングし、NADH oxidase遺伝子とともに、適切な宿主・ベクター系を用いてこれら両遺伝子大量発現を目的とす 1.過酸化物分解酵素系を構成するAhpC全遺伝子のクローニングと全塩基配列の決定。 すでに得られているAhpC部分遺伝子をプローブとしてAmphibacillus xylanusのDNAライブラリーにより全構造遺伝子を取得し、全塩基配列を決定した。AhpC遺伝子はNADH oxidase遺伝子の15bp〜580bp上流に存在した。 2.過酸化物分解酵素系を構成するAhpCとNADH oxidaseの機能的発現。 Ptacプロモーター下流にAhpCとNADH oxidaseを連結し、大腸菌を宿主として両タンパクを発現させた。 大腸菌で発現したAhpCとNADH oxidaseそれぞれ精製し、再構成したところ、親株(A.xylanus)と同様な過酸化物分解活性が確認された。AhpCとNADH oxidaseの関与する過酸化物分解酵素系の機能的大量発現に成功した。 この酵素系の反応速度は、酵素反応の限界に近い高速である。今回得られた大量発現系を用いて高速活性反応の解析を行ってゆきたい。
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