研究概要 |
ホウ素原子上に1-ピラゾリル(pz)基を導入したポリピラゾリルボラト(BRpz_3)基は、負1価の多座配位子であり、ピラゾリル環上に置換基を有する置換ピラゾール(Hpz^*)から多様な置換ポリピラゾリルボラト配位子BRpz^*_3を設計できることから最近注目されている。つまり置換基の選択によって、置換ポリピラゾリルボラト基が配位した中心金属周辺の反応場を立体的に規制したり、あるいは中心金属の電子状態を微妙に調整できる可能性がある。本研究では、種々の(置換ポリピラゾリルボラト)銅(I)錯体を合成し、NOガスの吸脱着特性とそれへの置換基効果を調べるものである。 (1)各種ポリピラゾリルボラト銅錯体の合成と性質 様々な置換基を有するピラゾール類およびそのポリピラゾリルボラトのカリウム塩をまず合成した。合成したものは、K[BH(3,5-MeP_2pz)_<3P>]、K[BH(3,5-Ph_2pz)_3]、そしてK[B(3-t-Bupz)_4]である。塩化銅との反応から、これらの銅錯体を調製した。現在、一酸化窒素ガスとの反応を準備している。 (2)触媒反応システムの構想 窒素物除去のための新しい銅錯体光触媒反応の実際的なシステムの構築のために、高分子担持ポリピラゾリルボラル基の合成ルートの開拓を行ってきた。まず分子量約3,000のポリスチレンを酢酸タリウム触媒のもとでスチレンのパラ位をブロモ化し、次にブチルリチウムでリチオ化する。これをホウ酸ブチルで処理し、加水分解をへて、ホウ酸化ポリスチレンを得た。過剰ピラゾール存在のもとで、ナトリウムピラゾリドとホウ酸化ポリスチレンとの脱水反応から、高分子担持ポリピラゾリルボラトのナトリウム塩を調製し、そのキャラクタリゼーションを行った。
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