研究概要 |
(1)硝酸亜鉛水溶液からのチオアセトアミド(TAA)を用いる均一沈殿法による単分散ZnS粒子の合成を行った。反応温度60〜80℃,[Zn^<2+>]_0=0.01〜0.10mol dm^<-3>,[TAA]_0=0.2〜0.8mol dm^<-3>で初濃度積[TAA]_0・[Zn^<2+>]_0が中間的で反応時間が短いときに粒径0.2〜0.8μmの球状単分散ZnS粒子が得られた。 (2)均一沈殿法により合成した単分散粒子は凝集合体した粉体に比べて焼結性が高く、粒子径が小さくなるほど焼結性も良くなった。粒子径0.1μmのとき1000℃,2時間の焼結で、98%の相対密度を持つ焼結体が得られた。 (3)イオン交換反応法により硝酸銀あるいは硝酸銅溶液中にZnS粒子を懸濁させて、Ag_2S被覆ZnS粒子あるいはCuS被覆ZnS粒子を合成した。被覆の形態は溶媒の種類、反応温度、原料濃度に依存した。(1)溶媒にエタノールを使用し、ZnSを高濃度に懸濁させ、AgNO_3濃度を低くして[Ag^+]/[ZnS]<1(モル比)、0℃で反応させたときに、Ag_2SがZnSを均一に被覆した粒子が得られた。(2)溶媒がメタノールで、反応温度が50℃、[Cu^<2+>]=0.01mol dm^<-3>でCuSによるZnS粒子の均一被覆が可能であった。 (4)硝酸亜鉛-チオアセトアミド均一沈殿反応系に硝酸銀を添加し、生成粒子の形態に及ぼすAg^+イオンの効果について次の知見を得た。(1)反応温度70℃、[Zn^<2+>]=0.04mol dm^<-3>,[TAA]=0.4mol dm^<-3>の条件で[Ag^+]=0〜4×10^<-4>mol dm^<-3>のときに粒径分布の狭い球状粒子のみが得られたが、[Ag^+]=4×10^<-3>mol dm^<-3>では粒子の形態が不連続的に変化し大きい粒子と小さい粒子とからなる凝集粒子となった。(2)Ag_2S-ZnS系複合粒子の生成過程では、初期にAg_2S粒子が析出し、その表面にZnS粒子が析出してより大きな粒子へと成長していくことがわかった。
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