研究概要 |
1.基質の選択 炭化処理する植物繊維の種類として、木綿系ではネルと脱脂綿を、パルプ系では再生紙スラッジとろ紙粉末を、また、ハニカム型プリフォームにはろ紙が適当と考えられた。 2.木綿系基質 ネルを強く締めながら直径13mm、長さ28mmに巻き、20%フェノール系レジンアルコール溶液に浸漬・乾燥し、Ar気流中1100℃、8時間の炭化を行った結果、寸法は約25%縮小した。1075℃〜1150℃において、4%SiCl_4、4%CH_4のガス雰囲気から保持時間0.3〜2.0秒、真空引き0.5〜1秒の条件で5000,10,0000,15,000パルスのCVIを行った。温度は1100℃以下がよく、BET法による真の表面積はCVI前の120m^2/gから15,000パルス後には60m^2/gまで現象することがわかった。5000パルス後のポア分布は20〜40μmに約60%のポアが存在し、80μm以上のポアは存在しなかった。 3.ろ紙粉末および再生紙スラッジ基質 径9mm,長さ15mmの円柱状基質に1100℃、保持時間0.5秒の条件で15000パルスのCVI後、嵩密度は処理前の0.25から0.65kg/mm^3に上昇し、残存空孔率も87%から73%に減少した。円柱軸方向への空気流通の圧力損失は2.5ι/minのとき111mmHgであった。1000℃、8時間の空気中酸化で炭素基質はほぼ喪失し、嵩密度は0.43g/mm^3に減少し、残存空孔率も86%に回復した。再生紙スラッジの場合もほぼ同様な結果となり、酸化後も十分な強度が認められた。 4.脱脂綿基質 脱脂綿に水分を持たせながら強く巻き込んで、径9.6mm,長さ8.2mmの炭化基質とし,上と同様に、10000パルスのCVIを行ったところ、嵩密度は0.18g/mm^3から0.42g/mm^3に上昇した。これは炭化ケイ素の充填率12%に相当し、残存空孔率は無処理の92%から82%に減少した。軸方向への空気の流通圧力損失はガス流量5ι/minのとき139mmHgとなった。
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