研究概要 |
本研究は、「高温高圧水腐食」の環境である高温高圧の純水と共存する水蒸気中における構造用セラミックスの「高温高圧水蒸気腐食」に関する研究であり、代表的な非酸化物、酸化物セラミックスの腐食反応、腐食形態を明らかにするとともに、耐食性および環境強度による総合的な材料評価を行い、これらの知見に基づいた材料設計および材料改質のための指針を提示することを目的としている。 平成9年度は、代表的な非酸化物セラミックスである炭化ケイ素の300℃の飽和水蒸気中での腐食挙動と腐食による強度劣化について検討した。また、比較のための300℃の高温水中での腐食試験も行った。試料は、B,C助剤系の常圧焼結炭化ケイ素を用いた。チタン製オートクレープを用い、300℃、8.6MPa、1〜10日間の水蒸気腐食試験を行った。腐食前後での重量変化、試料のXRD測定と液のICP分析、試料のSEM観察とEDS分析を行った。オートグラフを用いて各腐食条件毎に試料3本の室温での4点曲げ強度をJIS-R1601に準拠して測定した。 平成9年度の研究成果を以下に箇条書きに列挙する。 1)重量変化から見た腐食の程度は、水蒸気中の方が水中よりもかなり大きいことが分かった。 2)炭化ケイ素セラミックスの腐食の形態は、粒界腐食であることが判明した。 3)腐食後の強度は、いずれも処理時間とともに徐々に低下し、10日間では初期強度の約80%となった。
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