研究概要 |
酢酸銅を触媒としてトリフルオロ酢酸溶媒中でアルカンとアミンオキシドを銅触媒を用いて反応させるとアルカンのC-H結合にアミノメチル基を導入できる新反応を見いだした。本反応はC-H結合活性化を経るC-C結合形成反応及び官能基導入反応として極めて有用な反応であり、本反応によりアルカンを基本骨格に持つ種々のアミンが合成できることが明らかとなった。 1)銅触媒を用いるプロパンのアミノメチル化反応による新規アミン合成 プロパンを酢酸銅触媒、K2S2O8存在下、トリフルオロ酢酸(TFA)溶媒中、トリメチルアミンN-オキシドと150℃,20時間反応させるとN,N-ジメチルイソブチルアミン及びトリフルオロ酢酸イソプロピルが、それぞれ1400%,520%収率(Cu基準)で生成することを見いだした。トリメチルアミンN-オキシドだけでなく種々のtert-メチルアミンN-オキシド類を用いても例外なく反応は進行し、対応する第三アミンが得られることが明らかになった。 2)エタンのアミノメチル化反応 プロパンの場合と同様、エタンを触媒の酢酸銅存在下、トリメチルアミンN-オキシドと150℃、20時間反応させるとN,N-ジメチル-n-プロピルアミンが1460%収率(Cu基準)で生成することが明らかとなった。本反応からはn-プロピルアミン類が選択的に生成し、エチルトリフルオロアセタートのようなエステルは全く得られない。 3)メタンのアミノメチル化反応 プロパン、エタンの場合と同様に、メタンのアミノメチル化反応を試みた。しかしながらメタンのアミノメチル化は進行せず、メタンがエステル化されたメチルトリフルオロアセタートが触媒基準2600%収率で得られることを見いだした。この場合、種々の検討結果よりこのメタンのエステル化反応はトリメチルアミンN-オキシドの作用は全くなく、主に銅触媒とK2S2O8が本反応に関与していることが明らかとなった。
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