研究概要 |
1.1979年、ベニバナの紅色色素カルタミンの平面構造式が提出されて以来今日までその絶対構造は明らかにされていなかった。それは、カルタミンがC-グルコシルキノカルコンの二量体構造をとり、複雑な互変異性の混合物であることによる。そこで、この度グルコース残基をメチル基に置き換えたキラルな(+)-および(-)-モデル化合物をそれぞれ合成し、X線結晶構造解析およびCDスペクトルによる天然カルタミンとの比較により、カルタミンに存在する二つの不斉中心をS,Sと決定することができた。 2.引き続き、カルタミンの全合成を検討しており、これまでにC-グルコシルキノカルコンの両ジアステレオマ-の合成を達成することができた。今後は脱保護、二量化の条件を検討して天然と同じ絶対配置のカルタミンの全合成を達成して行きたい。 3.当研究室で既に成功しているサフロミン-Bからカルタミンへの変換につき、その過程を解明するため、よりシンプルなサフラワーイエロ-Bのモデル化合物の合成にも着手し、わずかではあるがその合成に始めて成功し、天然のサフラワーイエロ-Bとのスペクトルによる比較を現在行っている。今後は収率の向上および保護基の脱離条件を検討し、また、合成したモデル化合物を用いてカルタミンへの変換過程を探って行く予定である。
|