研究概要 |
1)1,3-ジエン・アセチレンを基質とする環化 6,8-ジエン-1-イル(1 equiv)をTi(O-i-Pr)_4(1.25equiv)とi-PrMgCl(2.75 equiv)でエーテル中処理することにより、アリルチタン部位を有するチタナサイクルが収率良く生成した。ひき続くアルデヒドとの反応では、アリルチタン部位の末端で位置選択的に、かつジエン由来の2置換オレフィンの立体化学もE体に決まった付加体が得られた。 2)1,2-ジエン(アレン)・アセチレンを基質とする環化 光学活性な6,7-ジエン-1-イル類は、同様の条件下環化し、加水分解を経て光学純度を損なうことなく2-アルケニル-1-アルキリデンシクロペンタン類を与えた。中間のチタナサイクルの一酸化炭素によるカルボニル化は、光学活性ビシクロ[3.3.0]オクテノンを与えた。5,6-ジエン-1-インでは、アレン部位について上と異なる位置選択性で反応が進行し、アリルチタン部位を有するチタナサイクルを与えた。光学活性アレンインから出発して、中間体のチタナサイクルをアルデヒド、ケトン、イミンでトラップすると、位置、立体、ジアステレオ選択的に、かつ出発物質の鏡像体過剰値(ee)を保持して対応する付加体が収率良く得られた。 3)α,β-不飽和エステルを基質とする環化 共役エステル部位を有するオレフィンまたはアセチレンの環化も進行するが、この場合反応性の高い炭素-チタン結合が、分子内の求電子部位をさらに攻撃し、タンデム環化反応が進行する。すなわち、2-エン-7-イノアートや2,7-ジエノアートからはビシクロ[3.3.0]オクタン骨格が、2-イン-7-エノアートからはビシクロ[3.1.0]ヘキサン骨格が収率良く得られた。 本研究により、所期の低原子価チタンに基づく環化反応の開発目標を、以上述べたとうり達成することができた。
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