グラフトモノマーとして、MMA、スチレンなどを用い市販カードラン(分子量7万9000)とラジカルグラフト重合を行った。この際、触媒、溶媒、重合時間・温度なとを詳細に検討し、種々のグラフト鎖を持つグラフト化カードランを合成した.カードラン一分子当りの枝の数や構造解析は、高分解能NMR、固体NMRを用いて行い、カードラン主鎖の酸加水分解後、単離するグラフト鎖を今回購入予定の液体クロマトグラフィーを用いGPCカラムを接続して分子量を測定した.カードラン0.5gに対してスチレンの量を固定(5.44g、52.2mmol)して開始剤の過塩素酸アンモニウムの量を変えてグラフト重合を行ったところ、0.20〜0.25mmolの狭い範囲でグラフト反応が起こることを見出した.グラフト率は最高で208%であった.この時のグラフト及びホモポリスチレンの数平均分子量は、115万及び11万であった. 続いてピペリジン硫酸を用いて硫酸化を行った.われわれのこれまでの知見により硫酸化剤の違いによって得られる硫酸化多糖の硫酸基の位置や構造に違いがあることがわかっているので、分子量の低下などがおこらないでしかも高い硫酸化度が得られる条件を検討している.現在は、元素分析の結果から、イオウ含有率3%のゲル状のグラフト化カードラン硫酸が得られた.さらに、高い硫酸化度を持つものの合成を行っている.
|