これまでに行ってきたグラフト共重合体の硫酸化では、反応の条件を激しくすると硫黄含有量は増加するが、収量が減少する傾向が見られた。これは、硫酸化度が高くなると分子の親水性が増大して水に対する不溶性を保ちきれなくなり、部分的に水に溶解してしまうため、水不溶部の収量が減少しているものと考えられる。そこで、今回は、重合の際にジメタクリル酸エチレングリコールを少量加え、部分的な架橋構造の導入を検討した。得られた共重合体は、通常のクラフト共重合体の溶媒であるDMSOに膨潤はするが溶解はしないことから、架橋構造が導入されているものと考えられる。モノマーの仕込量を変化させることにより、側鎖の導入率の異なる共重合体が効率よく得られた。得られた共重合体の硫酸化は、DMSO中でピペリジン硫酸を用いて行った。硫酸化後の共重合体は、これまでと同様に水に膨潤したゲル状を示したが、より形状のハッキリとしたものが得られた。しかし、以前のグラフト共重合体の硫酸化よりは幾分改善されたが、硫酸化剤を過剰に加えると、依然として水溶部の収量が増大して水不溶部の収量が減少する傾向が見らた。
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