研究概要 |
近年,光・熱やpHを始めとするさまざまな外的刺激により高分子化合物の有する機能が変化するいわゆるインテリジェント高分子が注目されている。このような高分子化合物の構築する微環境や外的刺激による微環境の変化については,市販の8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸塩やピレンなどのケイ光性分子を微環境プローブとして用いた研究が数多くなされている。本研究においては,申請者らが見い出した新規のケイ光プローブ分子9-(4-N,N-ジメチルアミノフェニル)フェナントレン(DP:DMA-Phen)が光感応性基とするビニルモノマーを合成し,共重合によりDPユニットを微量種々の高分子に組み込み,DPユニットのケイ光挙動より幹ポリマーの構築するミクロ環境の評価を行う。今年度は,これまでに合成したDP誘導体モノマーと種々の水溶性モノマーの共重合体を合成し,以下に示す高分子ミクロ環境の評価実験を行うと同時に,本科学研究費補助金で購入した検出器を利用して,新規のDP誘導体モノマーの合成を行っている。 1.ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)やポリ(N-ノルマルプロピルアクリルアミド)などの感熱応答性アクリルアミド系ポリマーの水溶液系での熱相転移現象をケイ光プローブ法により追跡し,そのミクロ環境の変化を検討した。 2.2種のアクリルアミド系ポリマーが共存する混合水溶液系での熱相転移挙動をケイ光プローブ法により追跡し,ポリマー-ポリマー間相互作用について検討した。 3.ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)の熱相転移温度を制御することを目的として,数種のモノマーとの共重合体を合成し,ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)共重合体水溶液系のミクロ環境を比較検討すると共に,熱相転移現象に伴う高分子ミクロ環境の変化を検討した。
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