研究概要 |
α-メチルベンジル基またはメンチル基を有する新規光学活性マレイミド及びイタコン酸誘導体を合成した。マレイミド誘導体においては、N置換体と光学活性部位との間のスペ-サの長さが単独重合性に影響を及ぼし、メチレン鎖の数が5のときが収率、分子量ともに大きくなった。イタコン酸誘導体においては光学活性基がどちらかのカルボン酸に結合しているかで重合性が異なった。これらの光学活性モノマーとスチレン、メチルメタクリレートとのラジカル共重合をベンゼン中で行い、モノマー反応性比及びQ,e値を決定した。得られたポリマー、コポリマーの旋光性について、比旋光度と円偏光二色性スペクトルから検討した。コポリマーの比旋光度と光学活性モノマー単位の含有率(wt%)の関係において、コポリマーの旋光度はホモポリマーの旋光度と0を結ぶ直線から大きなずれを生じた。つまりコポリマーの旋光度はコモノマーユニットの影響を強く受けることが判明した。メチルベンジル基を有するマレイミドモノマーとスチレン(1:1)から得られたコポリマーはラセミ体の光学分割剤として使用できることが明らかとなった(日化平成8年秋季年会発表済)。光学不活性マレイミドの不斉アニオン重合において、アミノ酸から合成される光学活性アルコー誘導体(日化平成9年春季年会発表予定)およびオキサゾリン誘導体をリガンドとする不斉重合により、比較的高い旋光度を有する光学活性ポリマーを得た。またオキサゾリン誘導体を触媒とするアニオン重合においても、ポリマー主鎖に不斉誘導が起こった。いずれも平成9年10月の国際シンポジウムで発表予定である。
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