研究概要 |
N-置換体にメチルベンジル基、Lーメンチル基はアミノ酸残基を有する新規光学活性マレイミド誘導体を合成し、ラジカル重合性、アニオン重合性およびスチレン、メタクリル酸メチルとのラジカル共重合性を明らかにした。得られたポリマー、コポリマーの旋光性について、比旋光度と円偏光二色性スペクトルから検討した。ポリマー主暮らしに不斉誘導が起こることが判明した。光学不活性マレイミド(N-置換体:シクロヘキシル、フェニル等)の不斉アニオン重合において、アミノ酸から合成される光学活性アルコー誘導体(日化平成9年春季年会発表)、オキサゾリン誘導体(平成9年国際シンポジウムで発表)、ピリジン誘導体および酒石酸誘導体(以上平成9年日化発表)をリガンドとしたとき、比旋光度(435nm)が+117から-155度を有する光学活性ポリマーを得た。これはマレイミドポリマーでは最高の旋光度である(投稿中)。ポリマーの不斉はトレオジアイソタクチック構造による絶対配置(S,S)または(R,R)の差により生じている。励起鋼カイラリテイ法やモデル化合物の旋光度から、正の旋光度を持つポリ魔-は(S,S)絶対配置を有し、負の旋光度を持つポリマーは(R,R)絶対配置を有していると考えられる。嵩高いN-置換体を有するマレイミド(n-置換体:トリフェニルメチル、ジフェニルメチル、フルオレニル等)の不斉アニオン重合では重合性と旋光度が若干低下した。比較的高い比旋光度を有するポリマーが得られたので、ラセミ体分割剤としての応用が期待される。
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