本研究では、昨年度より引き続き光反応性の液晶メソゲンにn-ブチル-p-フェニレンビスアクリレートを用いた液晶性ポリエステルと種々の分子量のアルキレングリコールからなる光反応性液晶ポリエステル-ポリエーテルブロック共重合体を合成し、熱特性、光反応性について検討した。特に本年度はポリテトラメチレングリコール(PTMG:いずれも分子量1000〜3000g/mol)をソフト部に有するものと、テトラメチレングリコールを用いてポリエステルを形成したものに関して、熱特性、光反応性について検討した。 合成したポリマーの粘度は従来と同様に分子量が大きなソフト成分を用いたポリマーの方が高く、ポリエーテルブロックの組成が多くなると上昇した。また、テトラメチレングリコールを用いたものの機械的強度が、昨年度のヘキサメチレングリコールを用いた場合より同組成で比較した場合、若干向上した。さらに、光反応による成形物の固定化を試みたところ、未照射フィルムではソフト部のTm以降においても、弾性率が温度上昇とともに徐々に低下したが、光照射したものでは、ソフト部に対応する挙動はほとんど同じであったが、Tm(soft)以降の弾性率の低下はほとんど見られなかった。これは、光架橋反応により、分子の運動が抑制されたためであると考えられた。
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