研究概要 |
多糖をはじめとする天然高分子が見直されるにつれて、それらの繰り返し単位である単糖やアミノ酸からの高分子合成研究も多方面から注目されている。本研究では、D-グルクロン酸残基を側鎖にもつ、数種のポリマーを合成し、糖残基公有の機能を最大限に発現させることを目指す。また糖残基を主鎖に導入した場合との比較も行った。 1.昨年度に引き続き、酸性条件下アセトンを用いて、市販のD-グルクロン酸-6,3-ラクトンの1位および2位の水酸基をイソプロピリデン化して保護した後、これに別に合成したp-ビニルベンジルアミンとの開環付加により、スチレン誘導体(1)を合成した。またエチレンジアミンをスペーサーとしてメタクリル型モノマー(2)も合成した。 2.アゾビスイソブチロニトリルを触媒に用い、水またはジメチルスルホキシド中で1および2のラジカル重合およびスチレンとのラジカル共重合を行って、白色粉末状ポリマーを得た。得られたポリマー中のイソプロピリデン基をはずし、グルクロノピラノース環を再生するとともに、そのアノマー位への薬物モデルの結合様式を検討した。 3.別に薬物モデルとして、p-ニトロフェノールを選び、これをD-グルクロノフラノース環のアノマー位に結合させたスチレン誘導体(3)も設計・合成した。3のラジカル共重合により、薬物モデルを糖スペーサーを経て側鎖に結合させた新規ポリマーを合成し、その放出挙動を調べた。
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